溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
12.本契約成立



 デザートを期待していると言われれば、やっぱりお気に入りのケーキを買わざるを得ない。とぼけているわけではない。これは口実。おいしいケーキを食べるための。

 駅前でちゃっかりお気に入りのフルーツタルトを買って、花梨は新條と一緒に彼の部屋に帰宅した。

 デザートという名目でケーキを買ったのだが、実はホテルのランチにもデザートがついていたのでふたりともちょっと満腹状態。三時のおやつにしようということで、ケーキは冷蔵庫にしまわれた。

 花梨がキッチンを出てリビングを覗くと、ソファに座っていた新條が立ち上がった。真剣な表情にいよいよ決断の時が来たことを悟り、花梨も表情を堅くする。

 黙って新條の前まで歩み寄ると、新條はポケットから見覚えのあるベルベットの小箱を取り出し花梨の前に差し出した。

 小箱のふたが開かれ、指輪についたダイヤモンドが煌めく。見上げた花梨に新條が告げた。

「改めて言うよ。花梨、オレと結婚して欲しい」

 少しの間、その真剣な眼差しを見つめたあと、花梨は淡く微笑んで頷く。

「うん。私、新條が好き。あんたじゃないと一緒には暮らせない」

 嬉しそうに微笑んで、新條は小箱から指輪を取り出す。そして花梨の左手を取り、薬指に通した。

「本契約成立」

 そう言って新條は花梨を思い切り抱きしめた。花梨も腕を回して抱きしめ返す。


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