澄みわたれ!
4つのフルート(美しきピアノから)
あぁ、終わった。

脱力した手足に力を入れ、立ち上がった。

アンサンブルコンテスト

それは冬の大きな大会で、ずっと頑張って練習してきた。

なのに、本番では、あっけなく散った。

学校で朝練したときは、安定した、4人のフルートの音が響いていたのに。

会場に立つと、緊張で足が震え、指が動かなくなった。

広いとは言えないようなあの会場でも、4人だけがポツンと立たされると、前にいる観客と審査員の圧にやられてしまうのだ。

「北川中学校 フルート 銀」

予想していた通りの言葉。

それが胸に響いた。

西山 静香は泣いていた。

「頑張ったもんね。吹コンでがんばろう!」

「しずかセンパイ、、、 私、ソロ間違えちゃって、、、っ、、、」

奥野 桜はまっすぐと前を見ていた。

「大丈夫だよ。まりちゃん。」

先輩にとっては最後のアンコンなのに、、、

悔しくて、俯いた

北川中学校に金は無かった。

帰りのバスでは皆黙ったままだった。

すすり泣きの音と、ガタガタ揺れる音だけが響く。

八木 杏子がバスのシート越しにつぶやいた。

「まり、吹コン、ゴールド金賞、だよ。」

「うん。」

2人の声は、バスの音にかき消された。

しかし、強く、残った。
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