春だから…恋。
「……俺と、付き合ってくれるか?」
「……はい」腕の中で答える。
抱えられた花束の匂いが、鼻先をくすぐる。
軽く前髪が掻き上げられて、額にキスをされて、
「……よかったよ。おまえに断られたら、どうしようかと思ってたんだ……。……今日でもう会えなくなるのに、嫌われたくもなかったからな」
言うのに、
……。一瞬だけためらって、
「……私も、そう思ってたんです……」
胸の内に秘めていた想いを、思い切って伝えた。