名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
……朝日が眩しい。


朝日の眩しさとご飯のいい匂いと、シャッ、とカーテンを引いた音がして目が覚めた。


布団を引き上げてみるも、やっぱり明るい。


まだ眠いけど、多分そろそろ起きないとなんだろう。


とりあえず、ばたんばたん布団を畳むそうちゃんに声をかける。


「おはようそうちゃん……」

「おはよう。……あのさあ、女子なんだから、……いや、女子じゃなくてもだけどさ」


朝起きるとすごい体勢でばたーんと寝ていて、また言葉を飲み込んだそうちゃんに呆れられたのは余談である。


まだ熱を持つ手をそっと握りしめる。


多分そうちゃんは起きたばかりで。

冷え性なわたしの手は、いつもよりもまだ温かくて。


みいちゃんはちょっと寝相が悪すぎる、やばいよ直しなよ、と言うそうちゃんと、それでも手は繋がれたままだったらしかった。


……結局のところ、そうちゃんはそうちゃんだ。


でもわたし、幼なじみでいられたらいいって思ったり、もっと近づきたいって思ったりしている。


どうしたらいいのかな。


幼なじみのまま、好きだって伝えるにはどうしたらいいのかな。

そんなのずるいのかな。


意地っ張りで可愛くなくて、でもそうちゃんが好きで。


わたしは欲張りだ。


まだ寂しさに慣れたくないから、もうちょっと欲張りでいたいなあと、思った。
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