名前で呼べよ。〜幼なじみに恋をして〜【番外編】
以前、今よりずっとずっと小さいときに、暗い部屋でどうしても寝つけなくて。


隣で寝ていたそうちゃんの布団にごそごそ潜り込んだら、ごそごそうるさいのと布団が取られて寒いのとで起きてしまったそうちゃんに、「勝手に入ってくんな」って怒られたことがある。


でもそうちゃんは、こうして許可を取れば絶対に断らないし怒らない。


半分枕を詰めてくれて、布団を多めにわたし側に寄せてくれる。


そういうところが好きだ。


ごろんとそうちゃんが背中合わせになった。


そろそろ寝る、という合図だ。


「おやすみ」

「……おやすみ、そうちゃん」


やっぱり名前を呼んでくれない。


ちょっと寂しい。


本当は夜明けまでいくらでも語り明かせそうだったけど、とりあえず明日も学校あるし、そうちゃんは眠いんだし、と思って悶々としていた。


そうしたら、いつの間にかまぶたが下がって、するりと寝ていたらしかった。
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