一之瀬さんちの家政婦君
「飛鳥ちゃんの事紹介したいんだよ。俺の新しい“友だち”だってさ」
櫂人は飛鳥の存在をあえて“友だち”だと表現した。
本当は“大事な人”だって言ってやりたいところなのだけど、それはもう少し我慢しよう。
そんな彼の心境も知らず、飛鳥は“友だち”という響きにジーンと心を打たれている。
しばらく縁遠かった言葉。
大学にも友だちはいるけれど、年末から続いている騒動で少し距離を置くようにしていた。
買い物を手伝ってもらい、美味しい珈琲店を紹介してもらい、他愛もない話もする。
飛鳥の中で“友だち”という響きが妙にしっくりきた。
「そうですか。ちょっと考えてみます」
櫂人の気持ちを受け取った上で、検討すると返事することにした。
今の飛鳥にはこれが精一杯。
行けるかどうかはご主人様である一之瀬 和真次第なのだから。