一之瀬さんちの家政婦君

***

月末の日曜日、飛鳥が買い物から戻ると見覚えの無い花束がデーブルに置かれてあった。

たしか出掛ける前には無かったものだ。

それにしても綺麗な立派な花束で、その美しさに吸い込まれるように飛鳥は花束を手にした。


良い香り……


思わず目を細めて息を大きく吸ってしまう。

そして、花束と一緒に一枚のメモ書きが添えられていた事に気付いた。

『快気祝いに持って行くといい』

一之瀬さんの字だ。

ぶっきらぼうな文章も彼らしい。

前に話をした時はあんなにどうでも良さそうだったのに。

飛鳥はすぐにスマホのメール画面を開き、和真宛てに『花束どうもありがとうございます』とメッセージを送った。

返事なんてきっと返ってこない。

別に期待しているわけではないのだけど。

出掛ける時間までに花が萎れてしまわないように、飛鳥は洗面所に水をはって花束を保管することにした。
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