忘却より思いをこめて
太一は、目の前の出来事がいまだ呑み込めずにいた。

原田太一は、男子高校に通っている。機械が、好きで改造仲間と群れてはロボットや車などの話で盛り上がっていた。

高校二年生だが、未だ女の影は見えず。本人は、あまり気にしてはいなかったが周りからの心配の眼差しが痛かった。

学校という日常業務が終わると彼のパーティータイムの始まり。仲間の誰かの家に行き、持ち寄ったプログラミングを見せあい談義する。これが、太一の至福の時間だった。いつものように制服を脱ぎ捨て、家を出た。二、三歩、歩いたところだった。
彼の目の前に奇妙な光景が広がっていた。

透けるような肌にぼろぼろの白い布のようなものを身にまとう女性がひとり呆然と立ち尽くしていた。目は、焦げ茶色、髪は漆黒のこどく美しい黒色だった。

目が、合った。憂いのあるその眼差しは、今まで母や妹としかまともに目を合わせたことのない太一にとってデータが、大きすぎた。フリーズした。

女性は、日本人とはかけはなれたエキゾチックな顔立ちだった。


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