嘘は取り消せない
部屋につき、ベッドに飛び込む

「……ッ」

涙があふれる
退院できたのは嬉しい
だけど三年前の私がしたことは、
私の嘘はどうなるの?


“桜も、俺を捨てるの?”
あの時の蛍の顔は今でも忘れられない

あんな顔にさせたのは紛れもない
私自身なのに

「何でこんなことになるの………っ」




三年前

余命宣告を受けた時
私は彼氏だった秋月蛍に嘘をついた


誰もいない放課後の教室
私が日直だったから待っていてくれたんだ
その後に少しだけ勉強をして………



「ねぇ、蛍」


私が名前を呼べば前に座っていた蛍が
こちらを向いた
その動作さえもかっこよく思えてしまう私は
重症なのだろう

「なに?」

蛍は私の顔をのぞき込む
胸が、苦しい


「あのね、突然ごめんね」


「私ね、蛍のことが」

違う、こんなこと言いたくない

だけど……………

「大嫌いになったよ」



嘘だ
本当はどうしようもないくらい大好きなのに
私が死んだ時悲しんで欲しくなくて
私のことなんて忘れて欲しくて

それなのに今私は生きてる


「もう、後悔しかないよ……ッ」

私はあの日以来高校に行ってなくて
蛍ともあの日以来私はあっていない

きっと私のことを忘れて生きてるのだろう
昔はそれでよかったのにな





今は覚えていてほしいなんて思ってしまう

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