【完】キミにぞっこん
「星那?」


「おいで」



星那の言葉に歩みを進めてみる。



「星那、ここ…」


「このレストラン、チャペルもあるんだよ」



星那がにっこり笑ってあたしを抱きとめる。



「びっくりした…」


「させたかったもん」



意地悪そうな笑みになる。



扉を開けてひろがってきたのは
友達の結婚式でみたことのあるチャペルだった。



「愛來」


「ん?」


「今から言う事よーく聞いてくれる?」


「…うん」



こんなとこに連れてこられて。
言われることなんて想像がつく。


ドキン、ドキン

心臓の音がこのチャペルにひびくんじゃないかってくらいうるさい。



「俺さ、いつも言ってるけど、愛來と出会うまでは適当に人と付き合ってた。そりゃ付き合った人のことちゃんと好きになってはいたけど、仕事調整して会おうとか努力は重ねて来なかった」


「…うん。莱久さんのことあったかりだよね?」



星那がこくんと頷く。


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