【完】キミにぞっこん
「や、ごめん。迷惑、だよな」



如月さんがどこか焦ったような顔になる。



「迷惑だなんて、そんな」



あたしは恥ずかしくて
如月さんから目をそらす。


なんて言うのが正解なのか

久しぶりすぎて忘れてしまった。



「ちょっとこっち」



如月さんに腕を引かれる。



会場を出たところの自動販売機の陰に
あたしを置く。



「愛來」


「きさ、らぎさん」



心臓の高鳴りが半端なくて
うまく言葉にならない。



「星那」



如月さんが呼べと言っている



「星那さん」


「さん、いらない」


「せ、な」



あたしの言葉とほぼ同時に
気がついたら如月さんの腕の中にいた。


あたしと同じくらいの速さで
心臓の音が聞こえてきて

彼の真剣さがわかる。



「愛來、俺と付き合うの嫌?」



星那があたしの顔をのぞき込む。



< 38 / 235 >

この作品をシェア

pagetop