誰でもいいから

始めて

大学生になって一番はじめにあったのは、健康診断だった。


指定された日の指定された時間に、ただ淡々と健康診断を受ける日。


私は1度も自分の通う大学に今まできたことがなかった。


少し緊張しながらモタモタしていると、他の女の子と目が合った。


きっとその子も少し緊張していて、なんだか助けを求めるように私達は笑いながら声をかけた。


「初めまして…1年生の方ですか…?」

そう始めに口を開いたのは私。


「そうです!あな…たも…?」

私は強く頷く。

「情報工学科の1年です!」

私がそう言うと、

「あーそっか、私は建築の1年生です。」

お互い同じ学科でないことを残念に思いつつも、健康診断会場までの道のりを雑談をしながら歩いていた。


何人かでいると不思議なもので、少しずつ少しずつ人が合流して、会場につく頃には6人くらいになっていた。


残念なことにほとんどみんな建築学科。


私だけ違う学科でその日友達が一人もできないで終わる未来が見え始めていた。


その塊の中の一人のこと御手洗に行く。


「情報工学科の子いないのかなー?」

私が苦し紛れに言うと、手を洗っている背の小さい可愛らしい女の子が振り返る。


「私!情報工学科です!」

私も友達も一瞬フリーズしたが、私は姿勢を正して、

「私もです!わー!同じ学科の子初めて会った!」


友達できる!

と少し舞い上がったら、


「宜しくお願いしますね。」

と少し硬いテンションで彼女は消えていった。

あれ?

情報工学科って硬い人ばっかり?


そう不安に思ったのが懐かしく思える。
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