ミステリアスなユージーン
「新庄課長と同じだってか?」

私の言葉を遮った沙織は、的確に私の心を読んでいた。

「そう、それ!」

「全然違うじゃないの」

え?

私が驚いて眉を上げると沙織はフワリと笑った。

「ユージーンは菜月を何度庇った?何度助けた?どれだけあんたの世話焼いてる?そんなの何の感情もないただのセフレにしないでしょ」

「……もういいです……」

「なによ、その言うの面倒臭い感は!」

だって、沙織は佐渡君を贔屓目で見てるもの。

「ユージーンはね《毒》なの。《麻薬》なのよ」

「麻薬?!」

沙織は私の麻薬発言に、意味不明だと言わんばかりに声をあげた。

……確かに庇ってくれたけど、世話を焼いてるというよりは小言を言ってる感が半端ないし、結構な意地悪だって言うんだよ?

けど……あの端正な顔がたまらなく素敵で、私が弱ってるところにつけこんで甘やかしてくる。

……毒に似ている。

私にとって佐渡君は甘美な、毒。

肌を重ねた時のあの仕草もあの表情も……すべてが麻薬だ。

……ダメだ、ダメだわ、私。

もう、自己嫌悪もいいところだ。
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