キミは甘のじゃく

「んん!?」

……初めてのキスにしては初々しさの欠片もなければ理性や冷静さもなく、目を瞑る暇さえも与えられなかった。

ひたすら貪るような激しいキスが続く中で、息も絶え絶えになる。

「古……賀くん……?」

「いつまで、苗字で呼ぶつもりだ?」

「え?」

「お前も、もう古賀だろう?」

その気になんてなるはずないと高を括り、すっかり油断していた私に俄かに身の危険が迫る。

「籍も入れたし……もういいだろ」

そういって露わになっていた首筋を舌で辿られると、背筋がゾクッとざわめいた。

……彼の示す合図がわからないほど子供でもない。

「え!?ちょっとまっ……」

秘めやかに囁かれた台詞は恐れていた夜の生活を指している。

帰ってきて……いきなりなの!?

ひょっとして、このために走って帰ってきたの!?

お風呂とか、お手入れとか、こっちにも色々準備があるのに!!

それに……。

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