キミは甘のじゃく

「古賀さんって随分可愛い人なんだね」

「へ?」

かすみはシュークリームを美味しそうに頬張るとさらに続けた。

「このシュークリーム、銀座のデパートにしか売ってない限定品だよ。古賀さんの会社って確か反対方向でしょう?」

かすみの洞察力は鋭かった。

白箱に押印されていた店名を即座にチェックして、ホームページを携帯に表示すると私に見せてきた。

1時間待ちは当たり前、銀座デパートの新名物という派手なキャッチコピーが人目を惹く。

「きっとお姉ちゃんが喜ぶと思って、こっそり買いに行ったんだよー。いじらしいね?」

かすみにきゃっきゃとはやし立てられると、何とも言えない気恥ずかしさがこみ上げる。

「……やめてよ」

そんなんじゃないから!!

何が悲しくて古賀くんとの仲を妹にからかわれなければいけないのだ。

しばらく経ったら彼の新婚熱も冷めるだろう。

新婚ごっこもそれまでの我慢である。

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