空と君とダイヤモンドと
「なに…言ってるの?」



あの日ここで告げたのは塁くんなのに。
ワカにしろよって言おうとしてたって。
1度も好きになってないって。



「ごめんね。勝手だよね」


「勝手だよ!あたしにワカにしろって言ったのに!ワカと付き合ってないからってよかったってなに!?ワカと付き合うのを望んでたんじゃない!」



あの日のことを思い出して涙が溢れてくる。



「ごめんね。いつも傷つけて」



ベランダの柵越しにあたしの頭をなでる。



「塁くんの、バカ」



そのまま窓を開けて部屋に入る。



なんで、あんなこと言うの。
全然吹っ切れてないのに、これじゃあもっと吹っ切れなくなっちゃうじゃない。
塁くんひどいよ。
自分から離したくせに。


明日はあたしの誕生日。
18歳最後の夜にこんな悲しい気持ちになるなんて。
塁くんに告げられたあの日の夜より悲しいのはなんでだろう。


塁くんのことなんて嫌いになれたらいいのに。
なんでなれないんだろう。

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