空と君とダイヤモンドと
「なんだあいつ?帰ったの?」



ワカが不思議な表情になりながらベンチまでくる。



「うん」


「何話した?」


「ワカのことが好きだから負けませんって言われた」



「ははっ。負けるもなにも瑛梨奈は俺のこと好きじゃねーし」



ワカにこんなこと言わせてしまってることに胸が痛む。



「うん。それは伝えた」


「好きじゃないって?」


「嘘つくのもおかしいと思ったから」



またあたしはワカに残酷なことをしてるのだろうか。
ワカのことは本当に大事なのに。
どういうふうにすれば、大事にできるのかがわからない。



「毎日ワカにアピールするからって伝えといてって」



「それをお前が俺に伝えんのか…」



悔しそうな表情で地面の石を蹴る。



「言われたから…」


「ん。わかった。ごめん、こんなんばっか言って。もうあの時みたいに離れるつもりは無いから」



ワカの言葉は暖かいのに。
どこかに闇を感じてしまう。


あたしが応えられないからなのだろうか。

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