空と君とダイヤモンドと
「だってさっきまでは…」



映画館でも、カフェでも。
その後買い物してたときもふたりで手を繋いで歩いていた時も。
ワカからのたくさんの愛をもらっていたはずだった。



「そんなのどうとでも言える」


「え?」


「俺、好きでもない女に好きだって言うの得意だから」



見上げた彼の顔はどんどん暖かみを無くしてる気がする。



「どう、して」


「どうして?瑛梨奈のことたしかに好きだったよ。でも手に入れたら要らなくなっちまったんだよ」



〝要らなくなった〟



その言葉があたしの心にはずしりと重くのしかかった。



「いつから?」


「え?」


「いつから好きじゃなかったの?」



いつから演技をしていたのだろうか。
まったく気づいていなかった。
ワカの愛はどれも暖かくて。



「んー。Hスタ行ったあたり?」


「なんで?」


「はは。そのあたりからリーグ戦も終わったしデート結構したじゃん。」



冷たく笑う。

< 203 / 533 >

この作品をシェア

pagetop