空と君とダイヤモンドと
「…あの人、塁って言うの?」



架純があたしに聞いてくる。



「うん!鷺沼塁さん!野球部の一つ上だよ」



あたしではなく良基が答える。



「なんで瑛梨奈が聞かれたのにお前が答えんだよ」



ワカが可笑しそうに笑う。



〝瑛梨奈〟



ワカがいつの間にか呼んでいた。
知り合ったばかりの人に呼ばれるのってなんかくすぐったい。



「塁さーん!」



良基が嬉しそうに駆け寄っていく。

塁さんはみんなに慕われてるんだろうな。



「おー!入学おめでとう!」



良基とワカの頭を撫でる。



「あれ、この前の瑛梨奈ちゃんだ」



鷺沼さんがあたしを見て笑顔をくれる。



「あ、はい。鷺沼さん…」


「塁でいいよ」


「塁、さん…」


「んー。もう1歩ほしいかな」



にっこり笑う。


「塁、くん?」


「それで。はい入学おめでとう」



書類をあたしに渡してくれる。

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