空と君とダイヤモンドと

それぞれのクリスマス⚾︎

「塁くん」



ベランダに出るといつものように塁くんの笑顔がそこにはある。



「明日、クリスマスだな」


「うん」



やっと塁くんと初めから過ごせるクリスマスが明日やってくる。



「やっと瑛梨奈ちゃんと一緒に過ごせる」


「ふふ。ほんとだね」


「去年は瑛梨奈ちゃん落ちてたしな」


「…うん」



ここ2年のクリスマス。
正直いっていい思い出がない。



「今年はさ、絶対に悲しい思いさせないから」



塁くんの瞳には真剣さがこもってた。

だから、今年は大丈夫なんだなって信じれた。



「やっと泣かないクリスマスかな」


「二年前泣かせたのは俺だからなんにも言えねぇ」



そんなことを言う塁くんが可笑しくてぷっと吹き出してしまう。



「笑うなよ」


「だってなんか懐かしいなって」



もう塁くんに出会って3年目の冬がきてる。
ワカに出会ってからも……──

ふとワカのことをすぐ思い出してしまうあたしは本当にバカだ。

< 306 / 533 >

この作品をシェア

pagetop