空と君とダイヤモンドと
「もう、じゃあキスしてくれたら帰ってあげる」


「は？そんなんでいいの？」


ワカは元の遊び人に戻ってしまったのだろうか。

目の前のワカは彼女のアゴをくいッと持ち上げて自分の顔を近づけようとしてる。
そんなとこを見たくなくて、すぐに去らなきゃと元いた座敷に戻ろうと足を動かすのに動かない。


その代わり、手が動いてしまって持っていたスマホが床に落ちる。



その音にハッとなった二人がこちらを見る。



「瑛梨奈」



ワカが目を見開く。



「…ごめん。ワカまだかなって電話しに出てきたらそこに居た」



なんて何を言ってるのかよく分からないことを呟くあたしの目からは涙がボロボロと落ちてくる。



「瑛梨奈！？」



ワカが彼女の手を振りほどいてあたしに駆け寄る。



「何この子、大輝のこと好きなの？」


「…俺が好きなんだよ。帰れよ」


「よくわかんないわね。まぁいいや。じゃあまた暇な時に相手してね」


「2度としねぇよ。めんどくせぇ」



2人のやり取りに彼女じゃないんだとわかってほっとする。

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