金木犀の季節に



どれくらいたった頃だろう。
窓の外が暗くなったと思うと、激しい音が聞こえはじめた。
それは、風の音だった。

そのとき、ポケットの中に入れてあるスマートフォンが震えた。
ホームボタンを押して、画面をつけると、私は驚いた。

待受画面に表示されていた時刻が、午後四時五十分だったから。

急いでバイオリンと傘を持って玄関のドアを開けた。が、予想以上だった。


滝のように降ってくる雨と、すべてをさらっていくかのように吹き付ける風。
これでは傘を差すことも出来ない。

どうしよう。

バイオリンに水は大敵だ。







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