冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
彼に手を引かれてひそやかな庭を歩いていると、ふと幼い頃に戻ったような感覚に陥る。

やわらかな色をした朝空が、だんだんとくっきりした藍色に変わってきた。

太陽が虹色の光にかこまれてのぼってくる。
小鳥たちがさえずりながら、夜露に濡れた草の中から飛び上がってゆく。
木の葉が朝風にそよぐかすかな音。

曙光が射しこみ、芝の夜露がキラキラと輝くのを、二人で見つめる。

一日が始まろうとしている。

フロイラはクラウスの胸に顔をうずめて、しばらく静かに泣いた。
クラウスはなにも言わず、じっと抱きしめてくれた。
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