お見合い相手は冷血上司!?
「お前は、本当に何もわかっていないな」

「えっ? それは一体……」

 一瞬眉を顰めた彼は何か言いたげにも見えたけれど、その顔はすぐにいつもの冷ややかな仮面に戻ってしまう。

 しかし入社して四年、ずっと同じ部署にいたのに、オフィスで二人きりになるのは恐らく初めてだ。
 そして課長が、用もないのに気にかけてくることなんて珍しい。よくわからないけれど、怒っていたのは気のせいだったのかな?

「今から接待で出る。お前も、今日はもう帰れ」

「あ、これだけはどうしてもやって帰りたいので、私はもう少し残ります。戸締りはやっておきますので、どうぞ課長は気にせず行ってください」

 すると彼の眉間には、みるみる間にくっきりと深い溝が二本刻まれる。
 ……あ、大変。眉間に浮かぶ黒瀬川だ。

 これを拝むのは、冷血人間が吹雪を起こす兆候だということを知っている。
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