お見合い相手は冷血上司!?
「……お前というやつは」

 再び長い息を吐いた彼は、刻まれた黒瀬川をより一層深くすると私に背を向けて自分のデスクに向かっていく。
 カバンとコートを手に取った彼は、振り返ることなく口を開いた。

「終わったら気を付けて帰れ」

「は、はい!」

 私の返事は届いていたのだろうか、同時に閉められた扉と、すぐに聞こえてくるリズムの良い足音。
 徐々に小さくなっていく音に、ようやく安堵して全身の力が抜けた。

 でもあの黒瀬川を見て、吹雪が起きなかったのは……初めてかもしれない。

 以前納期を間違えて取引先に迷惑をかけた社員は、轟々と吹き荒れたブリザードに半ば凍死寸前だった。
 それどころか昼間の木津主任への対応のように、上司にさえも容赦なく切りかかるものだから、見ていて背筋が凍ることも多い。
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