お見合い相手は冷血上司!?
「でもその人さ、どうなの? 亜子が今は恋愛する気ないっていうのは分かってるけど、そういうの抜きで見て、結婚相手としてどんな感じ?」

「結婚相手として、かぁ……」

 桃に言われて、思わずドキッとする。
 仮にもプロポーズまでされたというのに、課長をそういう相手として考えたことがなかった。

「とりあえず、悪い人ではないと思う。尊敬出来る部分もあるし。でも、行動が読めないというか……とにかく怖くて私は少し苦手かな」

「二日前に初めて会っただけの人にしては、やけに具体的じゃない?」

 彼女はフォークを置き、訝しげな視線を向けてくる。

「よ、予想よ! そんな感じがしたなって。正直、まだ分からないことだらけなの。でも私は、今は誰が相手でも結婚は考えられないかな」

 話しながら回し続けていたフォークが空回りしていたことに気付き、慌てて麺を巻きとってそれを口に運んだ。
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