お見合い相手は冷血上司!?
「以前、見たことがあった」
僅かに低くなる声のトーンに、思わず背筋が伸びる。
「えっ?」と呟くと、一瞬横目でこちらを見つめた彼は観念したように小さく息を吐き、徐にその口を開いた。
「みんなが帰ったオフィスの窓辺に、ポツンとお前が立っていた。手にはあのプラネタリウムのパンフレットが握られていて、それに頭を落としていたお前を見て、泣いてるのか? あぁ、厄介な場面に遭遇した、と俺はその場から離れようとした。
しかし、顔を上げたお前は泣いてなどいなくて、凛とした表情でただジッと空を見上げた。その表情がとにかく美しくて、俺は気付くと目を奪われていた。あいつは失恋したというのに、あんな表情を浮かべるのかとただ単純に気になったんだ」
まるで企画の説明でもされているように抑揚のない話し方なのに、ひどく照れくさくて、この場で膝を抱え込んでしまいたくなる。
課長に見られていたなんて、夢にも思わなかった。
僅かに低くなる声のトーンに、思わず背筋が伸びる。
「えっ?」と呟くと、一瞬横目でこちらを見つめた彼は観念したように小さく息を吐き、徐にその口を開いた。
「みんなが帰ったオフィスの窓辺に、ポツンとお前が立っていた。手にはあのプラネタリウムのパンフレットが握られていて、それに頭を落としていたお前を見て、泣いてるのか? あぁ、厄介な場面に遭遇した、と俺はその場から離れようとした。
しかし、顔を上げたお前は泣いてなどいなくて、凛とした表情でただジッと空を見上げた。その表情がとにかく美しくて、俺は気付くと目を奪われていた。あいつは失恋したというのに、あんな表情を浮かべるのかとただ単純に気になったんだ」
まるで企画の説明でもされているように抑揚のない話し方なのに、ひどく照れくさくて、この場で膝を抱え込んでしまいたくなる。
課長に見られていたなんて、夢にも思わなかった。