私たちの、歪な関係



受験生、か……


1年後の私がどこで何をしているかなんて想像がつかない。


「私は、何になりたいんだろう……」



呟いた言葉は虚しくもシャワーの音にかき消された。























翌日、いつものように花音と登校していると珍しく隼と駿くんが一緒に登校してきたのと遭遇した。


「あれ、おはよー。
珍しい、隼くんがいるなんて」

それにいち早く気づいた花音が言う。

「おはよう花音ちゃん」

「おはよう」


そして駿くんと隼も私たちに気づく。



「おはよう」


ふたりに挨拶すると、自然な流れで隼、私、花音、駿くんとならんで歩き始めた。


「なんか優衣と会うの久しぶり」

「ああ、放課後花音に勉強教えてるから…」

「優衣借りてます」

「まぁたまにはいいんじゃない?俺も隼に勉強教えてもらってるし」


なんだか、初めてじゃないか?

こんなに気持ちよくみんなと会話をしているの。


「あ、じゃあさ!
みんなで今週末でも勉強会しようよ!」


私が呑気にみんなの話を聞いていると、花音がパンっと手を合わせていう。


「あ、いいね」


駿くんも乗り気だ。


「別に紫藤はいなくてもいいけど、優衣と隼くんと3人だと私の居場所が無くなるから誘ってるだけだからね」

そんな駿くんに花音が釘を指す。


「はいはい。居場所作りますよ」

それに呆れて駿くんが笑う。

「うるさい!」

なんだかこの2人のやり取りも見慣れてきた。


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