私たちの、歪な関係


我ながら、傍からみたら私たちは世にいう"バカップル"というヤツなんだろう。

全然そういう自覚はないんだけど……


花音に昨日そう言われた。


「ねぇ隼、私たち世間的に言うとバカップルらしいよ」

それを隼に言う私も私だけど。

「へぇ、そうなんだ?
うける」

いやうけないうけない。

どこにその要素あった?

「そういう自覚ある?私は全然ないんだけど…」

「んー、ないのがバカップルなんじゃない?
まぁ俺は気にしないけど」

そう言って隼はクレープを食べ終えた。

バカップルか……

まさか自分がなるなんて。

「じゃあバカップルはバカップルらしく…」


すると隼はそう言って私の手を握ると、



「バカになっちゃおっか」



と走り出した。


「わっ!」


私まだクレープ残ってる!


そんな私にお構い無しに隼は走る。

もちろん手を繋いでいる私も必然的に走るわけで。


「隼はやい~!」

「あははっ」


笑い事じゃない!

う~


「楽しいね、優衣」


だけどそう言ってわらう隼の顔があまりにも幸せそうで。

「うん、楽しい」


いつの間にか一緒に笑って走っている自分がいた。



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