私たちの、歪な関係




















私は図書室を後にすると、帰るため下駄箱へ向かった。


もう夕方。


部活の人以外はとっくに下校している時間。


さっき携帯をみたら隼から『体調大丈夫?』とメールが入ってたんだった…


申し訳ないな。

嘘ついて。



すると、誰もいないはずの下駄箱に人影が。





その人は私の下駄箱のそばに立っていた。



「あ…」




「……優衣先輩っ」



その人物は私に気がつくとちょこちょこっと近寄ってきた。


「白木さん……
帰ってなかったの…?」


1人…?


隼たちとは別ってことか。




「はいっ、優衣先輩待ってました!」




……この子には嘘が通じなかったみたい。


花音にしか保健室にいたことは言っていないから、勝手に予想して待っていたんだろう。


「どうして私を?」


このまっすぐな瞳が怖い。



………そうか、私はこの子のこの目が苦手なんだ。




作り笑いや外見だけを見繕っても、この真っ直ぐな目だけは変わらない。



それが私にひどく突き刺さった。



……私はこんなにまっすぐ、ヒトを見れないから。






「優衣先輩と隼……
最初は本当に付き合ってなかったらしいですね?」



………駿くんか、隼。


どちらかが言ったか、または両方。



「それがどうかしたの?」



まぁ言ってたとしても全然構わないんだけど。


……なんとなく、この子に知られる日が来るのはわかっていたから。




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