私たちの、歪な関係




「楓、隼が好きなんです」


うん、わかってるよ。


あなたのその隼を見る目を見てたらきっとみんな気づく。


「だから簡単です。隼と別れてください」



笑顔でこの子は……



「それは、無理なお願いかなぁ…」



だから私も笑顔で返す。



「どうしてですか?隼の事、本気じゃないんですよね?」


「本気だよ」


「じゃあなんで、最初から本気で付き合わなかったんですか?」



「それは……」



……答えられない。




「ほら、本気じゃないんですよ。
楓の方がずっと前から隼だけを見て隼だけが好きなんです」


そんな私に構わず白木さんは続ける。


「……私も隼が好き」



我ながら、なんて力ない声。



「別れないと、自分が辛いだけですよ?
楓が近くにいる限り、あなたと隼は幸せになんてさせてあげない。
隼を幸せにするのは楓なんだから。」





< 262 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop