私たちの、歪な関係
ーーー
放課後、帰ろうと荷物を持ち教室から出ようとした時。
「あ」
見つけてしまった。
「ん?どうしたの優衣」
花音が私に聞く。
「これ…」
教卓の上に置いてあるノートの山を指さす。
「ありゃー、これは忘れたね当番の人」
「絶対忘れた」
このノート、確か今日提出の成績に関わるやつだよね?
もちろん、私のや花音のもこの中にある。
クラス全員分。
教室を見渡すも既に誰もいない。
これは私が持ってくしかない……
「持ってくか…」
しぶしぶ、カバンを肩にかけてノートに手をかける。
「ごめん優衣、今日これからすぐバイトなの。
手伝えない…」
「いーよいーよ。それより早く行って、遅刻するよ?」
「ごめん!ありがとー!」
花音はそう言って行ってしまった。
まったく、なんでバイトあるのにこんなギリギリまで残ってるかね…。
「よいしょっ」
1クラス分のノートは案外重いなぁ。
私は教室を出ると隼のクラスをチラリと見たが、だれもいる様子はなかった。
…あれ?
いつもなら隼か駿くんいるのになぁ。
まぁいいか、さっさとこれ置いてきちゃおう。
パタパタと廊下を小走りで走り、職員室前の階段を降りて角を曲がった時、誰かにぶつかってしまった。
ドンッ
「いてっ」
「あ…ごめんな!って、如月」
あ、田中先生。
「田中先生…」
って、ノートが!
ぶつかった衝撃で全部床に落ちてしまっている。
私は慌ててノートを拾うと、田中先生も手伝ってくれた。
「すみません…」
「いや、大丈夫か?
係のやつは?」
「みんな帰っちゃったみたいで」
あははーと笑うと「そりゃおつかれさん」と言われた。
…いつも係じゃない私にもの頼んでくるくせに何を言ってるんだこの人は…
「よし、これで全部か」
「ありがとうございます」
田中先生が拾ってくれた半分を受け取ろうとすると、職員室すぐそこだろ?と手伝ってくれた。
「誰の机?」
「えっと、英語の……」
「ああ、おっけー」
よいしょ、っと先生の机にノートを置くと私達は職員室を出た。
「あれ?先生職員室…」
「ああ、ちょっと印刷機壊れてるからコンビニに行こうかなって思って」
ああなるほど。
「そうなんですか。お疲れ様です」
「ほんと、お疲れだよなぁ俺」
自分で言うなよ…
「じゃあ、私帰るんで失礼します」
「あぁ、気をつけてな…あ!如月」
帰ろうと先生に背を向けたら声をかけられた。
「はい?」
「ちょっとまってろ」
先生は私を呼び止めるとそう言って職員室の中へ行ってしまった。
?
なんだろう。
まさか頼み事とか……
それは最悪だ。