私たちの、歪な関係
「優衣っ」
隼の教室を覗こうとしたら、後ろから隼の声が。
「あ、いたぁ~」
よかった、居て。
私は笑いながら隼に小走りで駆け寄った。
「逃げるよ」
だけど隼は切羽詰まった感じでそう言うと私の手を掴んで走り出した。
「はい?」
逃げるって、何から?
と思っている間も隼に手を掴まれて走った。
え、まって。
ほんとに何。
何から逃げてるの隼。
「隼ー、逃げるなよ……はぁ…」
後ろを見ると駿くん。
え?駿くん!?
なんで…?
隼を見ると振り返りもせずに走っている。
駿くんは……
「はぁ…もー、無理……」
もう立ち止まってるよ…
どんどん駿くんが小さくなって……
「わわっ」
隼が急に廊下を曲がったことにより駿くんの姿はまったく見えなくなった。
「わっ、」
すると隼が急に止まり、私は隼の背中にぶつかってしまった。
「いてて………」
鼻ぶつけたし……
ほんとに何。
「隼?どうしたの?
急に走って……しかも駿くんから逃げて?」
「優衣……」
隼はなんだか気まづそう。
「隼っ!」
すると後ろから駿くんの声が。
走ってきてる音も聞こえる。そちらへ振り向こうとすると、
「ごめん…」
そう言った隼に腕を捕まれ、キスをされた。
えっ?
「……っち」
後ろからは駿くんの舌打ちの音と、パタパタと遠ざかる足音。
「……っ」
唇が離れると、やっぱり隼は焦ったような表情をしていた。
「隼?本当にどうしたの?」
少し心配になってそう言うも、隼は私の手を握ったまま離さない。
「帰ろう」
そしてそう言うと、そのまま私の手を引いて歩き始めた。