私たちの、歪な関係


そして神社に行くと、案の定たくさん人がいて盛り上がっていた。

すごい熱気…

でもまだ少し涼しい。

早く買ってとっとと帰ろうかな。

私は思い切って人混みに入った。

うー、人すごい。

押しつぶされそう。


「あれー?優衣ちゃんだ!」

ん?
学校の人?

声がするほうを向くと、学校で見かけたことある顔。

「1人なの?」

そう聞いてきた男の子は大人数で来ているみたいだった。

部活の子と来てるのかな?みんな同じジャージを着ている。

「うん、ちょっと来ただけだから」

「へー、あ。
一緒に回る?」

その子がチラリと一緒に来ていた子を見ると、みんな私に気がついて一緒に回ろうと言ってきてくれた。

正直、すぐ買ってすぐ帰ろうと思ってたからなぁ…面倒。

「あ、優衣ちゃんかき氷とか食べる?
奢るよー」

みんないい人たちなんだろうな。

「大丈夫だよ、すぐ帰ろうと思ってたから」

そう言って笑うも、

「いーじゃんいーじゃん!」

と腕を掴まれてしまった。

…こんな事になるならもう少し遅い時間に来ればよかったな。

「あれ?優衣ちゃん彼氏は?」

「あー確かに。
今日は一緒じゃないんだ?薄情な彼氏だねー」

すると隼の話題に。

いや、隼は何も関係ないよ。

なんで隼のこと何も知らないのに勝手に悪く言わないでほしいな。

なんだか少し気分が悪い。

「そんな毎日一緒にいるわけじゃないよ。
じゃあ私用あるから行くね」


花音には悪いけど、これはしょうがない。

これ以上ここにいたくないな。

「えー、いいじゃん。俺らと遊ぼー」

私が彼らに背を向けると、肩をがしっとつかまれてしまった。

しつこいな……。


「あ、優衣いた。
急にどっか行くなよ」


するとどこからともなく隼の声とともに、私の肩を引き寄せる手。

え?隼?

見上げるとやっぱり隼で。

「なんだ、彼氏と一緒かー残念」

「ごめんね優衣ちゃん。またね」

「ちぇー」

みんなは隼の姿を見るとさっきまでのしつこさが嘘のように退散してしまった。

ほっ、と内心安心していると隼の優しいゲンコツが降ってきた。


「いてっ」


何するの、と見上げると隼は少し不機嫌そうに


「なんで1人で出歩いてんだよ…」

と言った。

< 67 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop