私たちの、歪な関係



ーーー


「わ、ほんとに美味しい」

リビングで3人、たこ焼きを頬張る。

「優衣、ソースついてる!」

「えっ、うそ!」

「あはは、ほんと!」

「花音もついてるわよ」

「げげっ」


こうやって笑って食べてると、全部全部夢だったんじゃないかって思うくらい昨日の事が現実味を帯びない。


「優衣ちゃん、何かあったの?」

「へっ?」

流石花音のお母さん、鋭い。

「ちょと、お母さん!」

「大丈夫だよ、花音。
ありました」

どうせ隠しても、バレてるもんね。

おばさんは小さい頃からお世話になってるし、私の第2のお母さんみたいなものだ。

気づいても何もおかしくない。

「なんだか浮かない顔してたから、気になっちゃって」

そうお茶目に笑うおばさんは、目元が花音と同じだ。

花音がおばさんに似たんだけど。

「彼氏と別れたんです」

笑顔で言って、たこ焼きを口の中にいれる。

「まぁ、私が全部悪いんですけどね」


あー、こんな空気にさせたかったんじゃない。

私はつくづくダメだ。

「そう……でもきっと、そんな優衣ちゃんを受け入れてくれる人は現れるわよっ」


おばさんはそう言って、「うちの花音もダメダメだからねぇ、心配で」と笑った。


「ちょ、お母さん!うるさいよ!」

「あはは、冗談よ。
私の娘だもん、私もお父さんと出会えたんだから大丈夫よ」

「もう!」


……幸せそう。

いいなぁ。




私も、そういう家庭を作りたい。







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