副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
その頃、誠は少し重たい瞼をゆっくりと開けた。

そしてまだ働かない頭で周りを見回した。

(……あれ?どこだ?……やばい!会社だ!何時だ⁈)

誠は慌てて上半身を起こすと、バサッと何かが落ちた音がして慌てて下を見た。

(ブランケット??誰が?)
まだ働かない頭を軽く振ると、ドアがノックされる音がしてなんとか返事をした。

「おはようございます。今、起こそうと思ってました」
その言葉にブランケットを掛けたのが莉乃だという事に気づき、誠は驚きを隠せなかった。

そして、目の間に置かれたコーヒーとサンドイッチの意味がわからず、莉乃を見上げた。
そんな誠の視線など全く気にしていないように見える莉乃は淡々と話しだした。
「一度、着替えが必要でしたら、申し訳ありませんが、本日は昼過ぎしか時間が取れないので、一旦このままそれを召し上がってから会議に入って頂きます。その後、1時間半ほど時間を調整しましたので、その時間にご自宅へお帰り下さい。それでよろしいですか?」

「ああ」

誠は、呆然と莉乃を見据え、驚きを隠せず素直に返事をした。

莉乃が指示したこと以外で何かをすることは、めったになかったからだ。

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