副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
朝、いつも通り出社して自分の席に向かった。
少し漏れる副社長室からの光に違和感を感じて、莉乃はゆっくりと副社長室に足を向けた。
(もしかして今日は副社長の方が早かった?)
そっとノックをして誠の返事を待つも、返事はない。
電気を消し忘れただけかと、ドアを開けて副社長室に足を踏み入れて慌ててバタンと音を立てそうな扉に手を掛けた。
そこにはデスクに突っ伏して眠る誠の姿があった。
(やっぱり終わらなかったんだよね……徹夜しちゃったのか……)
昨日、莉乃自身その事に気づいていたこともあり、罪悪感が広がった。
莉乃は自分のブランケットを持ってくると、そっと誠にかけて、『申し訳あません。もう少し休んでください』そう心の中で呟くとそっと副社長室を後にした。。
スケジュールを確認し、調整した後、会社の下にあるコーヒーショップに行き、少し考えるように沢山ならんだサンドイッチに目を向けた。
(2年も一緒にいるけど何が好きかわからないな……。卵なら無難だよね。アレルギーとかある?うーん)
そんな悩んでいる自分がなぜかおかしくなりクスリと笑ってしまい、慌てて莉乃は表情を戻して、ハムサンドを購入し自分の席に戻った。
時計の針は9時を少し回っていた。
(もう少し寝ていてもらっても大丈夫かな)
そう思い仕事に手を付けた。