副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「わかってはいたんだけどね」
莉乃はコーヒーを一口飲むと呟いた。
「莉乃……」

「誠には、たくさんの女の人がいて、その中の1人でも良いって思ったんだけど。私にはハードルが高いな」
莉乃は一息つくと、言葉をつづけた。
「無理だ。誰かと共有とか、遊びで付き合うとか」

香織は半ば自棄のように見える莉乃に、
「でも、今、助けられてるのも事実でしょ?アイツが出てきたら……」

「そうだね。でも、その事と誠に頼ることが別問題なんだよ」
莉乃は悲しそうに笑った。

「莉乃……」

「アイツが来るかもって不安もあるけど、さっきの光景見ちゃったら、一緒にいるのもつらい。誰かと共有したり、遊びで付き合うぐらいなら一人でいいよ」

莉乃は涙が溢れるのを必死に耐えた。
莉乃の揺るがない瞳を見て、香織もかける言葉を失い莉乃をジッと見つめた。


「あーあ。恋愛なんて絶対しないって思ってて、好きになったのは一番好きになったらいけないタイプの人だったな」
莉乃は涙が落ちないように上を向いて明るく言うと、香織に笑顔を向けた。

「香織、ありがとう。まだ傷は浅いから大丈夫。自分の身を守るように気を付けるよ」



莉乃は、香織と別れ家に戻ると、誠の歯ブラシやスエットなどをしまった。

シャワーを浴び、ベッドに入ろうとうとしたが、昨日の誠の気配を感じシーツを変えた。

真新しくなったシーツに身を沈めると涙が流れた。

その夜は、やはりうまく眠れなかった。

何度も、寝たり起きたりを繰り返し、朝日を感じたところでベッドを出た。
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