副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「莉乃?どうし……」
急に顔をこわばらせた莉乃の目線を追っていた香織も、途中で声を失った。

目線の先にいたのは誠だった……。

少し離れた席に座った誠の隣には長い髪をした、綺麗な大人の女性が一緒にいた。
離れている上に、店内は薄暗い為、誠の表情は見ることができなかったが、女の人は誠の腕に自分の腕を絡め、誠の頬に手を触れていた。

ドクンと大きな音と共に、心の中がざわざわと音を立てたのを感じ、莉乃は慌てて目線を逸らした。

「どうしたの?一緒に飲もうよ」
莉乃と香織の様子などお構いなしの男二人の声は、とうに莉乃には聞こえていなかった。

「……もう、帰るから。行くよ、莉乃」
香織はそう言うと、莉乃を引っ張って席を立った。

「え……!ちょっとそれはないでしょ!」
後ろからの声を無視して、お金を払うと店を出た。

「莉乃……大丈夫?」
莉乃の呆然とした顔を見て香織は言った。

「……うん」

「お茶でも飲もうか」
香織は静かに言うと、少し離れたカフェに入った。

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