副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
家から徒歩数分のBARにつくと、ドアを開け弘樹を探した。

店のドアの印象よりかなり広い店内は、ダーツやスポーツ観戦もできる。

金曜の夜という事もあり、人ごみに溢れた店内で弘樹を探すのは困難を極めた。

「マコトさん!」
横から顔なじみの店員に声を掛けられた。

「よお、弘樹みてない?」

「弘樹さんなら、奥のカウンターですよ」
彼は、笑顔で答えた。

「ありがとう。よく入ってるな」
誠は手を軽く上げると、お礼を言って奥へと向かった。

奥へ進むとカウンターに座っている弘樹が見え、少し歩調を速めた。

清水弘樹 29歳。
高校からの親友で大手広告代理店に勤めている。
29歳にして役職付きの出来る人間だ。
漆黒の切れ長の瞳、黒の短髪。少し冷たく見える容姿。
その風貌と同化するように、モノトーンの服装が更にその雰囲気をミステリアスなものにしていた。
誠とは全く正反対のタイプだが、クールな感じで女の子にもよくモテる。

「悪い。弘樹。待たせたな」
「おつかれ、誠」
弘樹は誠を見ると隣の席を促すとグラスを手に取った。

「ビールお願い」
誠はバーテンダーに注文すると、一息ついた。
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