副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
その二人の様子を、周りにいた女の子たちが一斉に見た。

『二人になったよ!ほら声かけなよ!』
『今来た人も、すごくイケメン!』
『でも、声かけづらくない・・・?』

そんな声を聞きながら、
「何人に声かけられた?」
誠はニヤっと笑って弘樹を見た。
「3人だけ」
弘樹は特に表情を変えずに答えた。
「相変わらず、声を掛けてくる女には興味ないんだな」
誠は運ばれてきたビールに口を付け笑った。

「まあな。昨日泊まりだったのか?」
弘樹はタバコに火をつけるとゆっくりと煙を吐き出しながら、ゆっくりと昇る煙を見ながら誠に尋ねた。

「泊まるつもりはなかったんだけど、やりだしたら止まらなくなって寝落ちしてた」

「気づいたら朝って事か」

「そう」

「何か食べるか?」
弘樹口に煙草をくわえ、メニューを開いた。
「そうだな。適当でいいや。腹に入ればなんでも」

「相変わらず無頓着だな。朝と昼ちゃんと食べたのか?」
弘樹は、メニューを閉じると怪訝な顔を誠に向けた。

「それが、今日はなんか秘書が……」
「秘書?」
弘樹も聞き直した。
「ああ。いつも全く俺に無関心なんだけど、珍しく朝食を用意して昼食の時間も調整されて…だから、今日はきちんと食べた」

「お前に無関心ね……。それはそれですごいな」
弘樹は驚いた顔を見せた。
「だろ」

誠はまた莉乃を思い出していた。
いつもは、全くの無関心。
笑顔一つ見せない。

(この俺に媚びない女)

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