副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
莉乃はお風呂につかると、涙を抑えられなかった。

誠の用意してくれたスエットを何重にも折って何とか着ると、莉乃はリビングにいる誠に声を掛けた。
「お風呂ありがとう。入って」
少し落ち着いた莉乃の声に誠は莉乃を見た。

「やっぱりだいぶ大きいな。俺の服じゃ」
そういって、少し微笑んだ誠の傷ついたような表情に莉乃は、ズキンと胸が痛んだ。

(どうして?どうして誠がそんな顔するの?どうして……)

「今日は本当にありがとう。お礼が遅くなってごめんなさい」

莉乃をリビングの扉に手をかけ、背を向けたまま誠に言うと、「おやすみなさい」そう言ってリビングを出た。

「おやすみ」
後ろから小さく聞こえた声に、また莉乃は涙が零れ落ちた。

その夜は疲れていたが、上手く眠ることはできなかった。

誠も、ソファの上で目だけを瞑った。
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