副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

それから数か月、莉乃は悪阻と戦いながら生活していた。思った以上にはじめての妊娠は大変なものになってしまった。

「後、三キロ痩せたら入院になるから気を付けて」

先生の言葉に莉乃はうなだれる。極力食べられるものを食べているつもりだが、なかなか食べられるものが見当たらない。
赤ちゃんのために栄養を取らなければ、と思っているがなかなかうまく行かない。
誠の友人がドクターをしていて、長谷川家の主治医もつとめている大きな総合病院の産婦人科。
担当してくれている女医の町田先生はため息交じりに言う。

「貧血も酷いでしょ? 仕事大丈夫なの?」

「はい、夫と一緒ですし、仕事中も常に無理はしてないので大丈夫なんですが……」
誠の役に立つことが嬉しくて、莉乃は仕事も積極的にこなしてきていたが、やはり赤ちゃんに栄養がいっていないのかもと心配になってしまう。

「でも、急に倒れたりしたら危ないから、無理は禁物ね」
「はい……」
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