副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

「私の専門経済学なんですよ、資格もそれなりに持ってます」
莉乃は苦笑して、観念したように言葉を発すると棚の本を手に取った。

「なぜ仕事の時に言わなかった？」

「あの頃はいろいろあって……すみません。目立つこともしたくなくて。もっと副社長をお手伝いすべきだったと本当に思ってます」
莉乃は申し訳なさそうな顔をして俯いた。
「そうか。じゃあこれからは頼むな」
優しいその言い方に、莉乃はホッとして表情を和らげた。

そして、話を変えるように本棚に本を戻しながら莉乃は笑顔を見せた。
「私はお嬢じゃないですよ。資産運用があたって、このマンション買ったんです」

「え！！買った？」
驚いた顔をして、パソコンから顔を上げた誠に、莉乃はフフッと笑った。

「少しは見直しました？」

誠はしばらく唖然として莉乃を見ていたが、やがて我に返ると、「予想を遥かに超えていくな」そう言うと、大きく息を吐いてまたパソコンに向かった。

しばらく、誠は集中してパソコンに向かっていたが、

「これだけ専門的なものが入ってると、ここだけで対応できない。もう一度、違う日に作ってきたセキュリティ入れに来ていいか？」