副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「もちろん大丈夫だけど……」

莉乃は少し酔ってぼんやりとした頭で、少し考えた後良い事を思いついたように言葉を発した。
「疲れてるだろうし、明日また来るのも大変だよね……。客間が一部屋あるけど、誠がよければ泊まってく?」

「はっ?」
誠は言われたことの意味が解らず、莉乃の顔を凝視した。

(何を考えてる?意味を解って言ってるのか?)

誠は少し酔ってニコニコと笑う莉乃を見て、大きく息を吐いた。

(これは本当に何も考えてないな。こいつ天然か?隙だらけじゃないか……。まったく)
本当に親切で言ってるだろう莉乃に、誠は盛大に内心ため息を吐くと、

「いいのか?」

「だって、もう遅いし寝るだけでしょ?」
いいかと聞かれた意味すら理解してないような莉乃の表情を見て、誠は諦めたように、「じゃあ、そうさせて」といった誠に、

「準備するから、ゆっくりしててね」
にこにこしながらリビングから出て行った莉乃を、誠はまたため息をついて見送った。


(天然な上に、酒が入ると気持ちが大きくなるタイプだな……。会社での恰好をしてて莉乃は正解だろう」

項垂れるように、髪をかき上げると誠はいちごを口に含んだ。
大ぶりのいちごの程よい甘みと酸味が口の中に広がり、それと同時に莉乃の笑顔が頭の中を占拠した。

(本当に危なっかしいな。俺なんて女に信用してもらえるような男じゃない事を一番知ってるはずなのに。もっと危機感持てよ)

そこまで思って、最近全く他の女と会ってない事実に気づいて誠は啞然とした。

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