名無し。

夢に君は溺れた


キラキラしている。

ってゆーか、眩しいわ!!

何!?

…なんだ、太陽か。

ここは…夢の中?

色彩が薄く見える。

そして、ぼんやりとした頭。

「ん?またお前かよ。」

優しく笑いかける君。

なんだろう、懐かしい。

ホッとするような、安心するような。

だけど、少しだけ、胸が高鳴る。

君のとなりに腰かける。

5センチだけ、間を開けて。

ふと横を盗み見ると、寝癖かな?

ぴょこっと髪がはねている。

君らしいなぁ、ほんと。

可愛いとこもあるんだから。

パチッと目が合う。

見ていたこと、バレちゃったな。

少しだけ、顔に熱がこもる。

あれ?誰だろう。

「あ、彼も一緒なの?」

彼は少し離れたところでこっちを見て少し笑う

と向こうへ行ってしまう。

「一緒…だった、かな」

だった?

なんで、過去形なのかな?

不思議に思い顔を覗き込み目で訴えてみる。

「今は、お前と一緒だから。」

キュンッと短く、大きく心が反応する。

一緒にいるから、一緒と言っただけ。

なのに、勘違いしそうになるのは。

君がそっぽ向いて口元を押さえているから?

それとも、真っ赤な君の耳を見たから?

ほんと、君はズルいよ。

何でもない顔しちゃって。

「なに見てんだよ。勘違いでもしてんのか?」

余裕な表情で。

仕返しのように今度はあたしを困らせる。

してないよと言う代わりに首を振る。

だけど君は口角を上げてニヤリと笑う。

「してるんだろ、顔、真っ赤だぞ。」

勢いよく顔を隠して見せるけどもうすでに時遅

し。

クックッと喉をならせて笑う君。

恥ずかしくて顔をあげられない。

イジワル。

だけど、あたしは思いっきり顔を上げてしまっ

た。

だって、君が聞こえないくらいか細い声で可愛

いとか呟くから。

二人して驚いて。

二人して顔を赤くして。

「なんでもねぇよ」

なんて誤魔化す。

あぁ、やっぱり、好きだな。

やっぱりあたし、諦めたくない。好きだよ。

あたしの想いはもう、誤魔化せないよ。

君。への。

あれ?君?って、誰、だっけ?

あたし、の、好きな人。

イジワルな、君。

…誰?

君は、誰なの?

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