「王女さまは男のコ?!〜両刀使いの執事は××〜
「17歳の夜」
花の香りがする。

庭に咲いているジャスミンの香りだ。

それに、女の人の笑い声が聞こえてくる。

ローレルは、窓辺に腰掛けてため息混じりにそれを見やった。

あんなふうに綺麗な衣装を着て、花を見て語らうことが羨ましい、なんて・・。

「どうしましたか?」

横目にその声の主に視線を流した。

「別に。」

いいなぁ、と思ってただけだ。

恋文をもらったり求婚を受ける、年頃になったっていうのに、自分に寄ってくるのは「したたかな女性」ばかりだから。

「もっと、ちゃんとしたいって思っただけ。」

そう言って立ち上がった。

「ちゃんと、ですか?」


「そう。」

いくら母さま譲りの綺麗な金色のウェーブがかった長い髪でも、無造作にひとつに束ねてるだけじゃ、髪飾りも似合わない。

「女の格好をしたいんですか?」
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