「王女さまは男のコ?!〜両刀使いの執事は××〜
「求婚」
パーティー会場の片隅で、キルクークは無愛想にグラスワインを傾けるローレルを見つめていた。

半径1メートル以内に近づくの禁止

姿を見せるの禁止

・・と、言われたためだ。

なんとか、こうして影ながらに見守ることは許可されたものの、ローレルの怒りはどうやら本物のようだった。

こんなに怒らせたことは未だかつて一度もない・・。

キルクークも、さすがに反省していた。

自分を止めることができなかったといえども・・レディの唇をあんなふうにかすめとろうとしたこと・・王子としても恥ずかしいくらいだ。

・・だが、どうしても・・あのローレルを前にすると我慢ならないのだ。

キルクークは頭を掻いてため息をこぼした。

今宵のローレルも妖艶だ。

怒っているからか、ふてぶてしい顔が更に欲情を煽る。

その大きな目、白い肌、金色の髪。

全てが愛しい・・。

男姿だろうと、そう思っているのは自分だけではないはずだ。

その周りに飛び交う不逞の輩がその証拠・・。
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