どうも、うちの殺人鬼(カノジョ)がお世話になってます。

猫のような癖のある髪が乱れてるのに、気にしてない様子。

よく見ると、どういう訳だか彼女には正気が感じられない。

膝を抱えた腕は、人形のように細くて白い。

食事も寝る場所もある施設なのに……


「どうしました?」


施設長が振り返る。


「……なんでもない」


元々そういう体質の奴なのかもしれない。

使用人には不向きな軟弱な体格だ。

俺と直接関わることは無いだろう。

赤の他人である俺が気にする必要も無いか。





応接室に入ると、俺達は勧められるままに三人がけのソファに腰をおろした。

雇い主である俺を挟んで両脇に蝶野と真吹が座り、向かい合う形で施設長が一人用ソファに座る。

四者面談みたいなこの並びは気に食わないが……まぁ仕方ないか。


「こちらが情報帳になります」


施設長は大きなアルバムのような冊子をテーブルに乗せて広げた。
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