カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
ザクザクと音を鳴らしながら校門を出ようとした所…

私の名前を呼ぶ愛しい声に気がつく。

「卒業おめでとう!」

両手いっぱいの、ピンクのスウィートピーとかすみ草の花束を手渡された。


「ありがとう。
カズキだっておめでとうでしょう?」

「だなぁ」

涙でにじんだカズキの、綺麗な顔が揺れていた。

「待ってくれたの?」

「駄目だった?」

大急ぎで左右に首をぶんぶん振ってみせる。

フフッとカズキは口元で笑って見せると、不意に私を抱き寄せる。

「あっ…花束…」

「よかった…舞…お前が居なくなるかとあの時、マジで思ったよ」

そう言ったカズキは、全身に力を込めて微かに、体を震わせていたようにも感じた。


「大丈夫。何処にも行かないよ。
だから、カズキも行かないでね?」

「わかった。行かないよ。」


二人を静かに見守る様に

足元の華が小さく風に揺れていた。








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